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営業組織のボトルネックを見つける方法

営業の組織を良くしようとして、あらゆる場所に手を入れていないでしょうか。リードを増やし、トークを磨き、ツールを入れ、人を増やす。それでも、売上は思ったほど変わらない。その理由は、直している場所が、ボトルネックではないからかもしれません。

ボトルネックとは、全体の流れの中で、最も細い部分です。ここが全体の成果の上限を決めています。この記事では、営業のボトルネックを見つけ、そこに資源を集中する方法を整理します。

まず結論

営業の成果は、リード獲得、接触、商談化、提案、受注という鎖でつながった流れの中で、最も処理能力の低い工程で決まります。その工程以外を改善しても、全体の成果はほとんど変わりません。

そのため、まず、ボトルネックを特定します。次に、その工程の能力を最大限引き出す。そして、他の工程を、その工程に合わせて調整する。この順番で進めると、少ない投資で、大きな改善が得られます。

ボトルネックでない工程を改善しても、全体の成果は上がりません。

なぜこの問題が起きるのか

全体の成果は、最も細い工程で決まる

水の流れる管を想像してください。途中に細い部分があれば、その手前をどれだけ太くしても、流れる量は、細い部分の太さで決まります。営業の流れも同じです。リードがどれだけ多くても、インサイドセールスの処理能力が低ければ、取りこぼしが増えるだけです。逆に、インサイドセールスが十分でも、フィールドセールスの商談の処理が追いつかなければ、商談が滞留します。

ボトルネックは、固定ではありません。一つを解消すると、次に細い工程が、新しいボトルネックになります。だから、見つけて直す、という作業を、継続して繰り返します。

経営視点で見ると何が問題なのか

制約理論の五つのステップ

制約理論は、エリヤフ・ゴールドラットが提唱した、改善の考え方です。五つのステップで進みます。一つ目は、制約、つまりボトルネックを特定する。二つ目は、その制約を、最大限に活用する。三つ目は、他のすべてを、その制約に合わせる。四つ目は、必要なら、制約の能力を高める。五つ目は、制約が解消されたら、一つ目に戻る。

営業に当てはめると、こうなります。まず、工程ごとの処理能力と、流れてくる量を比べ、最も不足している工程を特定します。次に、その工程の担当者の時間を、価値の低い仕事に使わせないようにします。それから、前後の工程を、その工程の処理できる量に合わせます。リードを、処理できる量以上に流しても、意味がないからです。最後に、それでも足りなければ、人員やツールで、その工程の能力を高めます。

もう一つ、仕掛かりの量を制限するという考え方も有効です。一人の営業が同時に抱える案件の数に上限を設けると、案件が滞留せず、個々の案件に集中できます。上限を超えて抱える案件は、速度が落ちるからです。

トップセールスはどう考えるか

自分のボトルネックは、時間である

トップセールスにとって、最大のボトルネックは、自分の時間です。決裁者との面談、複雑な調整、重要な提案は、本人にしかできません。ここに使える時間が、成果の上限を決めています。

だから、彼らは、自分の時間を守ります。型にできる仕事を手放し、会議を減らし、移動を減らす。そして、自分の時間を最も価値の高い会話に使うために、準備と後処理を、他の人や仕組みに任せます。

自分の一週間のうち、決裁者や意思決定に近い人と話している時間は、何割か。その割合を測り、増やすことが、最も効く改善になる場合は少なくありません。

営業責任者はどう設計するか

ボトルネックを、数字で見つける

  1. まず、工程ごとに、一週間に処理できる量を概算します。人数、一件あたりの所要時間、稼働時間から求めます。
  2. 次に、工程に流れてくる量を、実績で数えます。
  3. 三つ目に、処理できる量と流れてくる量を比べます。流れてくる量が多い工程が、候補です。
  4. 四つ目に、仕掛かり、つまり滞留している件数を見ます。滞留が増えている工程が、ボトルネックです。
  5. 最後に、その工程の能力を高める手を、費用の小さいものから順に検討します。

数字で分解する

工程ごとの処理能力と、流れてくる量を、並べて比べます。数字は説明用です。リード獲得は、週に二百件のリードを生み出します。インサイドセールスは、三人で、一人が週に五十件を処理でき、合計で百五十件。フィールドセールスは、四人で、一人が週に三件の新規商談に対応でき、合計で十二件とします。

二百件のリードに対して、インサイドセールスが処理できるのは百五十件です。ここが最初の制約です。仮に、インサイドセールスの処理能力を二百件に引き上げたとします。リードの二十パーセントが商談になるなら、四十件の商談が生まれます。ところが、フィールドセールスが対応できるのは、週に十二件です。次の制約は、フィールドセールスに移ります。

この計算から分かるのは、インサイドセールスだけを強化しても、フィールドセールスの処理能力が足りなければ、商談が滞留する、ということです。全体を見て、順番に制約を解消していく必要があります。

図表|工程ごとの処理能力の比較(数値は説明用)
工程週あたりの流れてくる量週あたりの処理能力状況
リード獲得200件を生み出す—供給は十分
インサイドセールス200件150件処理が追いつかない(制約)
フィールドセールス商談が最大で約40件12件強化後に次の制約になる

編集部の整理です。数値は説明用です。

ここでは、三つの工程の処理能力を比べます。リード獲得は、週に二百件を生み出します。インサイドセールスの処理能力は週に百五十件で、ここが現在の制約です。

インサイドセールスを強化すると、商談が最大で四十件近く生まれますが、フィールドセールスが対応できるのは週に十二件です。次の制約は、フィールドセールスに移ります。全体を見て、順番に制約を解消していく必要があります。

ケーススタディ

細い工程を特定する

これは編集部が作った架空の事例で、数値は説明用です。

広告の予算を増やして、リードは増えました。ところが、商談の数は、ほとんど変わりませんでした。

工程ごとの処理能力を概算すると、インサイドセールスが、一日に処理できる件数の上限に達していることが分かりました。増えたリードは、対応できずに、数日間、放置されていました。

そこで、リードの種別で優先順位をつけ、問い合わせと資料請求の直後を優先する運用にしました。さらに、アウトバウンドの一部を外注して、インサイドセールスの時間を、価値の高いリードに集中させました。商談の数が、増え始めました。

よくある間違い

  • ボトルネックでない工程に、投資を続けている。
  • 前後の工程を、制約の処理能力に合わせず、流す量だけを増やしている。
  • 一人が同時に抱える案件の数に上限がなく、案件が滞留している。
  • 制約を解消した後に、次の制約を探さない。
  • トップ層の時間を、価値の低い仕事に使わせている。

明日から実行すること

  1. まず、工程ごとに、週に処理できる量と、流れてくる量を、概算で並べてください。
  2. 次に、滞留が増えている工程を一つ特定して、そこが制約かどうかを確認してください。
  3. その工程の担当者が、価値の低い仕事に使っている時間を、一つ減らす計画を立ててください。
  4. 一人が同時に抱える案件の数の上限を、試しに決めてみてください。

3分まとめ

三分でまとめます。営業の成果は、最も細い工程、つまりボトルネックで決まります。他の工程を改善しても、全体は変わりません。制約理論の五つのステップは、特定、活用、同期、強化、そして繰り返しです。

トップセールスの最大のボトルネックは、自分の時間です。決裁者との会話に使える時間を増やすことが、効果の大きい改善になります。明日は、工程ごとの処理能力と、流れてくる量を並べてください。

よくある質問

ボトルネックが複数あるように見えます。

同時に複数に見えるときも、実際には、最も制約の強い一つがあります。滞留が最も増えている工程を、まず見てください。一つを解消すると、次が現れます。

処理能力は、どう概算すればよいですか。

人数、一件あたりの所要時間、稼働時間から求めます。正確である必要はなく、工程同士を比べて、最も不足している工程が分かれば十分です。

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